いつしか、彼に必要とされているのだと思うようになっていた。
 利用されているだけなのかもしれない。彼は自分の心を見せないからわからなかった。
 自分の存在が彼を苦しめているような気はしていた。
 それでも、ネックレスを貰った時は嬉しくて、だからこそ、意味がどうしても知りたかった。
 ミサキのことがきっかけになった。
 たとえ、将也に支えてあげてと言われて、ミサキに側にいてあげてと言われて、自分の中にそうしたい気持ちがあったとしても、彼は何も言ってくれない。側にいろと言って、そうやって押し切る。肝心なところだけ誤魔化そうとする。
 そんなのは今日で終わりにしたい。だから、紗綾はじっと十夜を見詰めた。
 そうして、十夜は諦めたように溜息を吐いた。

「好きだ」
「私も好きです」

 いつから、どうして、そんな言葉は一切意味を持たなかった。