圭斗と海斗の後ろ姿を見送って、それから十夜は歩き始める。紗綾もその後を追う。

「あの……」
「何だ?」
「……ミサキさんと話をしました」
「そうか」

 彼の眷属のことだ。気付いているのではないかと思っていた。
 口にするのは躊躇われたのに、十夜の反応はあっさりしすぎている。

「伝えるように言われたんです。許してるって、あなたはもう大丈夫だから、私はいらなって」

 自分が伝えずとも、彼女は伝えられるのではないだろうか。

「……離れたことには気付いていた。消えたことにも」

 十夜の声音から感情は読み取れない。
 彼女は何も言わないままいなくなってしまったのだろうか。