どうしたものか。交信セットを見つめていると扉が開く。
 悪いことをしていたような気になってしまうが、彼らは全く気にした様子がない。

「ほんと、勘弁してほしいっスよ、あのラスボス!」

 真っ先に部室に入ってきた圭斗は喚いて、ソファーにドッカリと体を預ける。
 彼が言うラスボスとは校長のことだったはずだ。オカ研の黒幕とも言える。
 生贄の制度も全て黙認の下に行われていた。
 否、彼がいるからこそ、魔女は生贄の制度を作ったのだ。
生贄とは当時は魔女によって選出されたサイキックの精鋭であった。
 校長の依頼により、校内の心霊問題を解決すべく作られた。部員数が足りなくとも部として公認されているのもそういったところにある。

「あ、先輩、寂しかったっスよね? 飛び込んできていいっスよ?」

 紗綾を見るなりニッコリ笑って、圭斗が腕を広げるが、そこに物凄い勢いで激突したのは座布団だった。
 圭斗にぶつかった瞬間にボスッと埃を放出し、彼を激しく噎せさせた。かつて嵐が葬った集団の遺品だ。