Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「何を笑っている?」
「な、何でもないです!」

 十夜の一瞥は怖いが、彼の全てが怖いわけではない。
 来る前は緊張していたが、今は少しリラックスしている。

「モデル料って言って、くれましたよ?」
「モデル……」

 そう呟いて、十夜は黙り込んでしまった。
 そのまま受け取ってはくれたが、話が途切れてしまうのは困る。


「あの、ご迷惑おかけしました!」

 頭を下げる。けれど、やはり十夜は何も言ってくれない。

「それで、その……今日から戻ろうと思うんです」

 十夜を見る。彼は黙したまま、ただ紗綾を見ていた。

「私で良ければ、ここに……オカ研にいさせてください。なんでもしますから」

 それが紗綾の願いだった。
 見返りはいらない。本当は十夜の側にいたいのだとは言えなかった。