Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「か、噛むなよ!」

 いきなり声を上げた圭斗に、一体何事だろうと紗綾はぎょっとした。

「な、何でもないっス」

 圭斗はどこか恥ずかしそうにしている。それが、自分には見えないものに関係したことだと紗綾は察する。

「そこにいるんだね、頼斗さん?」
「ええ――ペット厳禁なんだから出てけよ」

 頷いてから、圭斗は追い払うような仕草を見せるが、また顔が小さく歪んだ。

「だから、噛むなって。他に見える奴いたら、どうするんだよっ」
「私も見えたらいいのにって、いつも思うよ。見えるせいで、みんな苦しんでるってわかってるのに――」

 右手を振る圭斗を見ていると何だか微笑ましい気持ちになる。
 頼斗自体は見せてもらったことがあるのだ。だから、多少、想像はできる。けれど、やはり想像に過ぎないのだ。
 同じ物を同じように見るとは限らない。だが、そもそも同じ物が見えていないというのは苦しい。