「会わせたくないのは当然だと思うよ」
「あいつら……何かコソコソしてると思ったら、勝手なことしやがって」

 圭斗は忌々しげに吐き捨てる。けれど、彼は自分に対して怒るべきだと紗綾は思う。

「香澄だって……」

 先に同じことをしたのは紗綾の方だ。だから、何も文句は言えない。因果応報ということだ。

「あの人、協力してくれたり追い払ったり、わけわかんないっスよ。そーゆーわけわかんない人、もう一人いるけど」

 笑って話す圭斗はいつもの彼のように思えた。先ほどのような不機嫌さも感じられない。

「……話、したいの」
「先輩が望むなら、喜んで」

 にっこりと圭斗が微笑む。

「あ、どこ行くっスか? 喉とか渇きません?」

 まるでデートにでも誘うような気軽さで、圭斗は隣に並ぶ。
 紗綾はそのペースに飲まれるしかなかった。