「圭斗君、待って!」

 今は紛れもないチャンスだ。紗綾は慌ててその背中を追う。
 無視されるかもしれない。
 それでも、彼に謝りたかった。

「さっきクラスの方に行ったら、もう帰ったって言われて……」

 足を止めて振り返る彼の表情を見るのは怖かった。

「あー……ちょっと図書室に寄ってて」

 圭斗は困った表情をしているように見えた。

「昼休みにも行ったんだけど……」

「まさか、二人組の女子に追い払われたとか言わないっスよね?」

 圭斗にまで見抜かれて、紗綾はドキッとする。