しかしながら、その考えは間違いだったのかもしれない。少なくとも相手が海斗では。
 都合の良いように利用されていることは明らかだった。
 今までもオカ研に利用されてきたと言えるのかもしれない。
 それでも、少なくとも、保身のためなどではなかった。

 一人目では淡い疑念、二人目では明確な疑惑、三人目で確信するに至った。
 一人目は女性だった。海斗は紗綾が来ることを伝えていなかったらしい。海斗が事情を説明して納得はさせたが、元々二人で会うつもりだったからか。終始紗綾の存在に困惑していたようにも見えた。
 二人目の女性は新しい相談者らしかった。第一印象から好意を抱いたのか彼に対しては友好的であったものの、終始紗綾の存在を気にしていたようだった。
 どちらの場合にしても海斗の対応は淡々としたものだった。
 三人目は男性だった。海斗は女性には見せなかった柔らかな対応をしていたが、相談内容が脱線するにつれて厳しくなっていった。