Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「足止め、ありがとう」

 十夜の片腕を掴みながら、王子様スマイルを浮かべるのは将也だ。黒と白のコントラストが目に痛い。天使に捕まる悪魔のようにも見える。

「あ、連絡できなくてすみません……」
「いや、連絡する素振りでも見せようものなら即逃亡だろ。たまたま俺らも近くにいたし、こいつも色んな奴にメールしたみたいだし」

 将也の反対側の腕を掴む佐野が言った。

「そうそう、結果的にはOK。助かったよ」

 将也はニコニコしているが、その腕には随分と力が籠もっているように見えた。
 十夜も振り解けない腕に抗うのを止めたほどだ。
 しかし、鋭い眼差しは向けられたままである。

「離せ、司馬」
「それは聞けないなぁ。神隠しみたいに見事に忽然と消えてくれちゃったりしてさ」
「俺は座っているだけと聞いた」
「座ってるだけだったでしょ?」
「こんなものを着せられるとは聞いてない」

 十夜と将也のやりとりを聞きながら紗綾は自分と同じだと感じずにはいられなかった。

「甘いな、黒羽。腹黒真っ黒大魔王の司馬に、いてっ!」
「変なこと言わないでくれるかな? 佐野」
「本当のことだろ? 後輩の前だからって……いててっ!」

 十夜の後ろで何が起きているのだろうか。将也は笑みを浮かべているが、佐野は顔を顰めている。
 だが、ふと何かを見つけたようだった。