Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

 香澄の希望で前庭のカフェスペースに行くと、丁度席が空いたところだった。香澄の運は紗綾の影響を全く受けないようだ。

「将也先輩と佐野先輩に会ったよ。本当に王子様だった」

 食べ物をテーブルの上に広げながら紗綾は何となく思い出すが、香澄の反応は予想とは違うものだった。

「うわっ、見たくないなぁ……」

 彼女の場合、陸上部の前部長としてのイメージが強いからだろうか。

「将也先輩は白王子って感じだったよ」
「似合わなそう……」

 香澄は心底嫌そうに顔を歪めている。嫌われている、という話が信憑性を帯びてしまうほどだ。

「あ、写真撮らせて貰えば良かったかな」

 他の女子ならすぐさま携帯電話を取り出しただろう。実際、紗綾たちが話している間、撮影しようとしていた人間もいたくらいだ。

「やめときなって。心霊写真になったらどうするの。あの人、真っ白なように見えて黒いから」
「そ、そうなの……?」
「奴らに比べたら灰色かもしれないけどさ」

 奴らとは、やはりオカ研ということになってしまうのだろう。
 けれど、将也がなぜ、黒いのかは紗綾には想像もつかない。
 その言葉の意味を聞くために口を開こうとすれば、先手を打たれてしまう。