Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「なるほど、素直じゃない男って嫌っスね」
「そうそう。素直じゃない子なんだよ、うちの十夜君」
「何だかんだ言いながら律義に帰り送ってるし」

 圭斗が言う通り、紗綾は部活の帰りはいつも十夜に送ってもらっていた。
 もちろん、遠慮したのだが、帰り道が同じであり、最終的には顧問命令ということで落ち着いていた。
 尤も、先日から圭斗も加わっている。

「一緒に歩いてるだけ、でしょ?」
「まあ、死神くっついてるみたいな。俺が送るから先に帰っていいって言ったのに、結局、俺のことが信用できないとか言うんスよね」

 嵐と圭斗は好き勝手なことを言う。
 事実であることは否定できないが、当の本人が黙っているはずもない。

「貴様ら……」

 低く唸った十夜だったが、その先は言えなかった。

「あ、呪うとか言うの、本当は照れ隠しなんだよ?」

 嵐の一言により呪う発言は封じられた。
 十夜よりも嵐の方が一枚も二枚も上手なのである。

「それでも、俺、引かないっスよ?」

 圭斗の挑発を嵐は軽く受け流して笑う。

「まあ、ライバルはこのぐらいの方が倒し甲斐があるんだよね」

 それは大人の余裕なのか、それとも、一年という差があるからなのかはわからなかった。