「佐野先輩はちょっとだけ知ってるけど、上総先輩はあんまり」
「廊下で会ったら少し話すとか、それくらいだよ?」
「佐野先輩でも挨拶だけよ」

 紗綾は思っていたのとの違いに首を傾げた。てっきり香澄も同じ扱いだと思っていた。

「……心配してくれてるのかな?」
「佐野先輩はまだしも上総先輩は……」

 香澄は険しい表情で考え込む仕草を見せ、クラスメイトの女子の興味津々と言った視線が突き刺さる。

「大体、どうやって知り合ったの?」
「将也先輩だよ」
「司馬先輩だっけ」
「そりゃあ、佐野先輩とはよく連んでるの見るし、ってことは上総先輩もついてくるとは思うけどさ……うーん、納得できない」

 香澄は何がそんなに納得できないのか、唸っている。紗綾も考えてみるが、よくわからなかった。

「はいはい、この話はここまで!」

 香澄は話を打ち切るようにパンパンと手を叩く。
 はしゃいでばかりもいられないのだ。これから各クラス準備に取りかかり、公開が始まるのだから。