文化祭一日目、まずは体育館でオープニングがある。
 何より盛り上がったのはバンド演奏だ。
 軽音楽部の演奏が何とも言えない空気を出してしまったのに対して、三年生の有志による演奏は凄まじい熱狂ぶりであった。

「三年生のバンド凄かったね」
「ヴォーカルの人、格好良かったね」
「私はギターの人かな?」

 女子達の話題はもう彼らのことで持ちきりである。ヴォーカルの上総とギターの佐野の人気は凄まじい。どちらも知り合いであるだけに紗綾は複雑な気分だった。

「月舘さんはどっち派?」
「紗綾は二人とも知り合いだったよね?」
「えっ、嘘!?」
「香澄も知り合いだよね……?」

 紗綾は香澄の言い方に引っかかりを覚えた。
 将也の友人というだけで仲が良いというわけでもない。接点があるというだけだ。それは香澄も同じはずだった。