「でもね、月舘。君はこれまでオカ研で色々不思議なことを見てきたと思う。その問題の解決に君は大きく関わってるんだよ」
「善美ちゃんのこと、とかですか?」
「確かに守護霊も関係はしてるよ? 月舘が思ってる以上に危なかったし。でも、最終的には月舘の人柄だよ」

 自分のことなのに、すり抜けていく。ほんの数ヶ月前のことでさえ掴めない。

「俺達は変わるべきなのかもしれない。それを月舘は教えてくれた。だから、先生も少し頑張ってみるよ」

 自分が何を教えられたのかわからないのに、助けになりたいと思ってしまうのは、策士の策にはまっているからなのか。それとも、未練があるからなのだろうか。
 結局、まだモヤモヤが残っていることを感じながら、紗綾は部室を出た。
 それを晴らすには圭斗と、そして、十夜と話をしなければならないのだろう。