Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

 部室には本当に誰もいなかった。単にまだHRが終わっていないということではないだろう。
 十夜は美術室に直行しただろうが、圭斗はここに来るはずだ。

「黒羽は相変わらず虚弱って言うか、ガラスのハートだし、榊もすっかりサボりになったよ。来る理由がなくなったわけだし、わかるけどね」

 棚を漁りながら、嵐は言う。

「すみません……」

 お前のせいだと責められても仕方がない。オカ研を崩壊させた犯人がいるとすれば、間違いなく自分なのだと紗綾は思っていた。

「榊に関しては、あれは、家族の問題だからね。黒羽は持病だし、月舘のせいじゃない。みんなそれぞれ、問題があるってだけ」

 嵐の様子はまるで変わらない。
 咎めるわけでもなく、むしろ優しい言葉をかけてくれる。
 話をするならば、今しかないのかもしれない。そんな考えが紗綾を動かす。

「はい」

 手渡された袋を受け取って、少しだけ迷った。それでも、今しかないのだと言い聞かせる。