Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「クッキー!」
「ん?」
「ゴスロリ服貸して!」
「え、何?」

 急に呼ばれた嵐は何のことだか、さっぱりわからないといった様子だ。

「オカ研で隠し持ってるんでしょ? ゴスロリ服」
「あ、ああ……あれね。勧誘用衣装。前の部長からのありがたくない寄贈品」
「あれ、使わないですよね?」
「まあ、女装はありえないでしょ」

 十夜にしろ、圭斗にしろ、嫌がるだろう。
 不意に、去年、文化祭で着せられそうになった記憶も蘇ってくるものだ。
 結局、久遠が客寄せパンダ役を快く引き受けてくれたおかげで免れたのだ。

「だから、クラスのためにパクってきてください!」
「パクるってねぇ……」

 彼女達の中で、嵐はオカ研に捕まっている可愛そうな教師だが、事実は全く逆だ。
 彼は喜んでやっているところがあり、ゴスロリ服も完全なる彼の趣味である。
 寄贈など大嘘だ。変人として名を馳せた光に罪を着せようとしているようにも思う。そして、八千草を知る者ならありえると納得してしまうことだろう。