いよいよ文化祭が迫る放課後、香澄はいつものようにすぐに部活へ向かう。
 部長になってから更にその身のこなしが素早くなったと思うのは気のせいなのかもしれない。
 そして、今日はそれを見計らったかのように紗綾に近付いてくる二人組がいた。

「月舘さん!」

 元気な声で呼ばれて紗綾はビクリとする。文化祭準備の中心になっている二人組だ。
 最近はよく話しかけてくれるようになったが、急に呼ばれるとどうにも驚いてしまう。
 まだ紗綾の方が慣れられずにいるのだ。

「ねぇねぇ、月舘さんってゴスロリ?」
「え?」

 ニコニコしながら問われる。
 しかし、なぜ、そんなことを聞かれるのか、紗綾には全くわからない。