「本当に? 俺も売り子なんだけど、時間が空いたら迎えに行くよ。連絡する」

 嬉しそうに微笑む将也を見ればほっとする。

「先輩のクラスは何をやるんですか?」
「うちもカフェ、かな?」
「そうなんですか……ライバルですね」
「うん、うちは卑怯な感じだけど」
「卑怯、ですか……?」

 一体、どういうことなのか。
 紗綾が首を傾げれば、将也はにこにこしている。
 何かありそうだが、彼は教えてくれそうにない。

「当日のお楽しみ、かな?」
「はい、楽しみにしてます」

 期待に添えるようにしないとね、と将也は笑っている。
 もしかしたら、彼が何かするのかもしれない。

「じゃあ、教室まで送らせてくれるね?」

 送ってもらうような距離でもないのだが、結局、途中までは一緒だ。断る理由もなく、紗綾は頷いた。