Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「あの人はとても残酷な人だと思う。優しくて、穏やかなようで、心の奥は恐ろしいほどに冷たい」

 それは、圭斗に見せるあの冷たさを指しているのか。あれは圭斗以外にも向けられるものなのか、考えてもわかるわけがなかった。自分にはまだ向けられていないのだから。

「誰にもあの氷を溶かすことはできなかった――自分が救われたいと思っているのに、彼の回りには救われたい人しか集まらない。他人を救っても自分が救われないことを思い知るばかり。それって、とっても皮肉だと思わない?」

 紗綾は黙って頷く。

「まるでクロみたい。あの子もそう。願いと相反する」

 自分が救われるわけでもないのに、他人を救い続けなければならない。
 その苦しみを紗綾は感じたことがない。
 けれど、彼らはそのことに苦しみながら生きている。
 鈴子もまたそれを見せないだけなのだろう。
 理解者を見付けるということは容易ではない。その点では光と花は多少方向性が間違っていても幸せなのかもしれない。