次の日、部を無断で休んだことに関して嵐は何も言わなかった。そもそも、彼は部室以外で部の話をしない。ただ担任として接する。
 香澄にも改めてちゃんと話したが、彼女はひどく怒って、今にも暴れ出しそうだった。
 嵐に噛み付きこそしなかったが、十夜や圭斗のところに殴り込もうとし、紗綾は必死に止めた。
 昼休みには圭斗が訪ねてきたが、香澄と様子を見に来た将也が追い払ってしまった。
 今、彼と話す気にはなれなかった。


 その放課後も紗綾は部室には行かなかった。
 連絡をするのさえ苦痛で、そんなもの必要ないという香澄と将也に従った。
 昨日は衝動的だったが、今日からは違う。
 二人に促されて書いた退部届を出すのだけは躊躇ってしまったが、いつでも出せるように制服のポケットの中に入っている。
 クラスメイト達も、一部ではあるが、受け入れてくれるようになった。その大半は男子であったが、野島の協力があってのことだった。

 だが、それが長く続くはずもなかった。
 部活に出なくなって三日、相変わらず嵐は何も言わず、圭斗の接触は香澄が完全にシャットアウトしていた。
 海斗も現れなかったが、連絡をすれば彼は本当に何でも話してくれるのかもしれない。