「でも、黒羽達はそれを知っていて、利用してたってところがあると部外者の俺から見ても思う。少し距離を取ってもいいんじゃないかな?」
「……部活には行きたくないです」

 将也の言葉に促されるように紗綾は答えを出した。
 今、ここにいるのが後ろめたいというのもある。
 明日、何事もなかったかのようにということもできない。

「そうだね。彼らに会うのは得策じゃないと思う。聞いたところで、ごまかされると思う。君には抵抗する権利がある」

 将也は大きく頷く。
 まるで、これから二人でオカ研を敵に回す相談をしているかのような気分にさえなる。

「丁度、今は文化祭準備で忙しいからクラスの手伝いをしてみるのもいいかもしれないよ。まあ、それには田端君の協力も必要になるとは思うけど、彼女なら俺が何も言わなくとも、君がお願いしなくともやってくれるだろうね」

 香澄がいなければ、紗綾はクラスに溶け込むこともできない。
 彼女には本当に感謝している。どんな時でも味方でいてくれた。
 そして、将也もそうだ。

「ありがとうございました」
「俺が君の相談に乗るのは当然のことだよ」

 将也が微笑む。
 十夜が悪魔や魔王などと呼ばれるのに対して彼は大天使だ。