Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

 そのまま、 紗綾は部室へは行かなかった。今は行きたくなかった。
 遅れて行くという話にはなっていたが、連絡もしたくはなかった。
 もうどうでもいいとさえ思っていた。
 もしかしたら、怒りを覚えていたのかもしれない。
 今までずっと服従してきたオカ研への反逆だったのかもしれない。

 そんな時に足が向いたのは陸上グラウンドだった。
 少しだけ、陸上部の練習をこっそり覗いたら帰ろうと思っていた。
 それなのに、香澄に見付かってしまう。

「あれ? 紗綾? どうしたの?」

 香澄は首を傾げる。
 三年生が引退し、今では香澄が部長だ。
 将也の意志を継ぐ彼女を慕う人間は多い。

「えっと、見学……しても大丈夫?」

 その、たった一言さえ口にするには躊躇いがあった。