Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「もう行っていいですよ。圭斗がうるさくて申し訳ないので」
「あの……ありがとうございました」

 立ち上がり、それから紗綾はぺこりと立ち上がる。
 彼が教えてくれたことは良かったと思っている。
 そして、早足で応接室から出ようとした。

「紗綾先輩!」

 圭斗の声にぴたりと立ち止まってしまう。
 けれども、振り返ることはできなかった。

「俺が言ったことは嘘じゃないっスから」

 何が嘘ではないと言うのだろうか。
 今は何も信じられなかった。
 何も考えたくはなかった。
 紗綾は飛び出すように応接室を後にして、決して振り返りはしなかった。そうしてはいけないのだと自分に言い聞かせて。