「愛する街で役に立ちたいとは言ってるけど、何かありそうなんだよね」

 刑事の勘というものか。
 自分の前では穏やかで優しかったのに、圭斗の前では冷たくなったことを紗綾は思い出す。
 昔の恋人だろうか、彼を捜していた女性についても愛したことを後悔していると言う。
 彼の本心がどこにあるのかはわからない。何が目的なのかもわからない。
 結局、すぐに帰ってしまった。

「まあ、何かあったら連絡するよ。じゃあね」
「はい、将仁さんもお仕事頑張ってください」

 そう言って、将仁と別れる。
 何か嫌な感じがする。
 そう思えば、十夜がどう思っているのかが気になってしまう。