Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

 帰りには十夜も戻ってきたが、やはり圭斗は何も言わない。
 周囲を気にする彼は、またあの女性が来ると警戒しているのだろうか。
 けれど、現れたのは彼女ではなかった。

「やあ、久しぶり」
「将仁さん」

 司馬将仁、いつもくたびれた印象のある彼だが、今日は違うような気がする。

「そろそろ文化祭だってね。暫くこっちは大丈夫そうだから安心して楽しんで」
「は、はい」

 彼が大丈夫だと言うには何かあるだろう。霊は決して待ってくれないのだから。
 すると、彼が圭斗を見た。

「君、圭斗君だったっけ? お兄さんには本当にお世話になってるよ」

 その瞬間、圭斗の顔色が悪くなる。一瞬にして表情が消えた。

「俺、用事、思い出したんで先に帰ります。すいません」

 ぺこりと頭を下げて圭斗は去って行く。それはまるで逃げるかのようだ。