Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

 やっと手が離れたのは、部室の前でのことだった。

「すいません。でも、あいつには関わらないでくださいっス。絶対に」

 強張った声が言う。縋るような目に、頷くしかなくなる。
 なぜ、彼はこんな表情をするのだろうか。
 いつでも強気な彼だったのに、今は全く余裕がないようだ。


 部室に入ってからも圭斗は何も話さなかった。
 嵐も何か気付いていたのかもしれないが、何も言わない。
 救いだったのは、文化祭用のありがたいグッズをただ黙々と生産していればいいことだった。
 今年も久遠に売らせるために、嵐が材料を調達しているのだ。

 その嵐はいつものようにコーヒーを飲んで二人を見守るだけだ。
 そして、十夜はここにはいない。内職をしているのだが、彼の場合は美術室でシルバーアクセサリーの製作を言い渡されている。
 彼のその才能が発覚したのは一年の時、魔女曰く『試しにやらせてみたら、意外に器用でむかついた』ということである。