Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「って言うか、月舘さ、本人か弟の方から何か聞いてない?」
「何も……」

 将也は何も言っていなかったし、将仁からの連絡もない。

「彼女の方は?」
「マリエちゃんも何も……そもそも連絡先知りませんし」

 霊が見えるだけの将仁に対して、声を聞くだけの存在がいる。
 ある事件がきっかけで出会った二人は時に協力するが、危険が伴うことはオカ研を頼ることになっている。
 彼女――マリエもまだ高校生で、紗綾と同い年だ。事件が起きるまではサイキックとしての力も自覚していなかった。
 厳密には将仁が刑事として気にかけているのであって、恋人でもないのだが、嵐はいつも面白がってそう言う。

「黒羽は?」
「なぜ、俺に聞く?」

 問われた十夜が顔を顰めた。
 将仁はいつも十夜に直接連絡することはない。

「だって、弟の方と最近仲良いでしょ? 一緒にオープンキャンパスに行ったって噂聞いたけど」
「偶然だ」

 夏祭りの頃から、二人の仲が良くなっていることは紗綾も気付いていた。
 将也の日頃の努力が報われ、十夜が少し心を開いたようだった。

「まあ、いいか。悪魔の話をして本当に悪魔が来ちゃったら困るからね」

 悪魔なら、ここに三人もいるのだが、紗綾は黙っておくことにした。
 否、言えるはずがなかった。