「サイキックの刑事さんが、きっと、捕まえるよ」

 司馬将仁、彼は必ず犯人を見つけ出すだろう。
 揺るぎなき信念を持ち、彼女の姿を追って。たとえ、その声が届かずとも。

「そっか……なんか凄い世界だよな」
「うん、そうだね」

 頷きながら、また紗綾は思い知る。
 自分はその世界の内側にいるようで、本当は外側にいるだけに過ぎないだと。
 二つの世界が重なるところでどちらにも行けずに彷徨っている。

「黒羽先輩ってさ……いい人だったんだな」
「うん、優しい人なんだよ」

 野島が十夜を理解してくれたことは素直に嬉しいと思えることだった。
 彼の中で十夜はちゃんと救ったことになっているのだろう。