野島家へ向かう途中、一行はほとんど無言だった。
 紗綾もあまり自分から話すタイプではないし、十夜は普段から無口であまり会話が成立しない。問えば一応の返答はあるという程度だ。
 一年一緒にいる紗綾がその状態だ。もう三年目になる将也でさえそんな調子らしい。
 親戚のお兄ちゃん的な存在である嵐にもそうだ。付き合いが長いこそ、容赦がないようにも感じられる。
 つまり誰に対してもそうなのだが、野島はそんな十夜に完全に恐怖心を抱いているらしかった。

「あ、あの野島君……?」

 非常に気まずい。
 聞くべきこともあるだろうに野島は自分から切り出せない様子で、十夜も自分からは聞かない。
 だから、紗綾は自分が間に入らなければならないという使命感を感じていた。

「うん、合ってるよ、何?」
「その、ご家族は、お兄さんのこと、どう思ってるのかな、って……」

 明確な変化があるなら、家族も気付くはずだ。サイキックに相談するというのは彼の独断なのだろうか。