「連絡先、わかるなら教えてほしいんだけどさ」
「やだ、教えない。私が行くもん!」

 嵐は光を見たが、答えたのは花だった。プライドを傷付けられて、ムキになっているのだろうか。

「今更、君に何ができるの?」
「できるもん!」

 まるで子供だ。
 光も子供っぽく、このままでは手に負えなくなるのではないかと紗綾は思っていた。

「俺、聞いてきたんだよ、連絡先! 偉いでしょ? えっへん!」

 どこまでも子供っぽいが、光も少しは大人になったようだった。メモを嵐に差し出す。

「ひかちゃん、勝手なことしないで!」

 花が取り上げようとするが、もう嵐の手の中だった。
 光も何も考えていないようでかなりくろうしているのかもしれない。

「とりあえず、あっちに確認してみるよ」

 メモを確認して、嵐は携帯電話を取り出す。既にあちらが動いているということも考えられるのだろう。

「黒羽達はもう行きなよ。野島はその方がいいでしょ?」
「は、はい……」

 野島は落ち着かない様子だった。部室が怖いのか、光たちに引いているのか、兄が心配なのか、どちらにしてももうここに留まる理由はない。
 問題は速やかに解決しなければならない。手遅れになってしまう前に。