「さて、野島のところには黒羽に行ってもらうとして……」

 嵐が考える仕草を見せると、十夜が紗綾を見た。

「これも連れて行く」
「私もですか……?」

 自分が行っても何にもならないはずだと紗綾は思うが、野島はパッと顔を明るくした。

「た、頼むよ、月舘! 俺達、クラスメイトだろ?」

 どうやら十夜と二人っきりは嫌なようだ。

「まあ、それでいいや」

 嵐は反対しなかった。別にいてもいなくとも同じだろう。

「お友達の方はもっと危なそうな気がするんだよね……」
「ずっと学校休んでるらしいよ」

 答えたのは八千草だった。

「そっちは、榊とあっちの人達に動いてもらうかな……」
「面倒臭い方にわざわざ俺を連れてく必要ないっしょ? どうせなら、部長の方、見学するっスよ」

 あっちの人達という含みに圭斗は何かよからぬものを感じたようだった。

「多分、魔女じゃない美人さん貸してもらえると思うけど」

 嵐は嘘を言ってはいないが、誤解を与える言い方だと紗綾は思った。

「いや、俺、そういうのにはつられないんで」

 圭斗が肩を竦める。つられたら、後が大変だろうと紗綾は思う。