Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「そんなこと言ってちゃダメだって!」
「俺はあの男が大嫌いだ」
「部長でも子供みたいなこと言うんスね」

 まるで十夜は駄々をこねているようでもある。それだけ嫌いということなのだろう。
 一年間紗綾が見てきた限りでは、そこまで十夜に嫌われている人物はその一人だけだった。魔女とはまた別なのである。
 十夜の口から大嫌いなどという言葉が出るのも非常に珍しい。

「まあ、ある意味、諸悪の根源だからねぇ」

 嵐も立場上黙ってはいるが、苦手としていることは明らかだった。
 彼の場合、十夜よりも厄介な立ち位置であるのは間違いない。

「ただの偽善家の狸だ」

 あの人物について、ここまで言うのはおそらく十夜だけだと紗綾は思っていた。
 紗綾は口が裂けても言えない。何でもない紗綾に言う資格もない。