「トラブルの種なんていらないっしょ? それに、喜んで手引いたっスよ」

 彼の存在は厄介でオカ研としては監視するべきだが、抱えておくのはリスクが高すぎる。
 どちらかしかオカ研には入れられず、トラブルは間違いなく十夜や嵐の心労に繋がるだろう。
 既に八千草というトラブルホイホイの存在もある。彼が卒業したからと言ってその繋がりは決して切れることはない。

「八千草とは波長が合ったみたいだけどね」

 確かに歓迎会の帰り、学校に戻って車から降りた時、二人が妙に意気投合していたのを紗綾も見ている。
 そして、十夜がうんざりしていたのも見てしまった。
 死にそうだったと形容してもいいのかもしれない。

「OBと合っても意味ないじゃないっスか。それ以上に先輩や部長が怖かったんスよ、きっと」

 圭斗は笑う。自分が脅したわけではないとばかりに。
 思い返せば、確かにリアムは嵐を恐れていた。躾を施されたせいもあるだろう。
 それはどこか香澄が彼を恐れるのに少し似ていたのかもしれない。