Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「目、閉じて、集中して」

 その声に誘われるように紗綾はそっと目を閉じる。
 流れ込んでくるような彼の体温、繋いだ手に意識を移せば、何かが見えてくる。
 犬、大きな犬が目の前にいた。

「っ……!」

 驚いて紗綾は目を開けてしまった。
 いるはずのないものが、見えるはずのないものが、確かに一瞬だけ見えた。
 急に恥ずかしくなって、紗綾は手を引こうとしたが、目を開けた圭斗が、もう一度、と言うように微笑んで再び目を閉じる。
 そして、紗綾もまた目を閉じた。

 今度はゆっくりと見る。
 自分を覗き込んでくる大きな動物……灰色の犬。
 どこか威厳のある姿だと紗綾は思う。
 神々しいとでも言えばいいのか、これが眷属というものなのだと感じた。