Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「そう言えば、紗綾先輩はどうしてオカ研の生贄に?」

 昨日聞けなかったんで、と思い出したように圭斗が言う。
 だが、紗綾にとって一年前、自分の身に起きた不幸を口にするのは少しだけ抵抗がある。笑い事ではないからだ。
 それを察した香澄が、眉を顰めたまま口を開く。

「あの男の……何だっけ? 背後霊?」

 香澄は決して十夜の名前を口にしたがらない。
 そして、彼のすることに一切理解を示さない。
 だから、紗綾は「守護霊様だよ」と訂正する必要があった。

「どっちでもいいんだけど、何かこっくりさん的な怪しいお告げでしょ?」
「何かね、霊的なものに選ばれたらしくて、拒否権なしで……」

 香澄のいい加減な説明に加えて、紗綾の説明も要領を得なかったが、圭斗は何となく納得したらしかった。

「それで超常現象、ね。いかがわしいにもほどがあるけど」

 陰謀、策略、呪い、どんな言葉でも表わしきれないほど、その出来事は当時の紗綾の常識の範囲を超えていた。
 最近では、オカルト的なことに、少し耐性もできてきたが、やはり、それだけは今でも不思議に思っている。