「わからなくても、無理はしなくていいんだよ。そのままでいいんだ。そうしたら、いつか、きっと答えが降ってくる。みんな、待っていてくれるよ」

 将也は優しい。どこまでも優しい。甘えてはいけないと思うのに、そう藻掻くことが彼にとっては無理に映ってしまうのだろう。
 扉が開く音に将也が振り向き、そして、その人物を確認すると紗綾に向き直って微笑んだ。

「さあ、悪い王子様が来たから、魔法が使えない魔法使いは退散しないとね」

 紗綾が呼び止める間もなく、将也は去っていき、代わりに現れたのは険しい表情の圭斗だった。