Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

 善美の様子と圭斗の口振り、それはまるで生霊が彼女の知り合いであり、庇っていることを示しているように思えたが、聞けるはずもない。

「紗綾、あたしね……」

 善美は必死に紗綾に何かを伝えようとしていたが、その躊躇いが胸に痛い。

「もう、いいよ」

 聞いてはいけない気がした。
 何もできない自分が聞いたところで救いにはならない。話してすっきりすると言うのなら良いが、きっと余計に辛くなるだけだろう。
 彼女の中の不安を消すことができたらいいのに、特別な能力は何もない。
 それでも、もうこの問題は解決すると確信していた。

「大丈夫だから」

 圭斗は手を引くと言ったが、彼の言葉を思い返せば、無責任に放り出したわけでないことはわかる。
 その紗綾の信頼を感じ取ったのか、善美は緊張から解き放たれた様子で大きく欠伸をした。

「不思議……なんか凄く眠くなってきた」

 紗綾には何もわからないが、状況に変化もあったのかもしれない。そのまま善美は布団に入り、まるで今まで寝ぼけていたかのようにすぐに寝入ってしまった。

「おやすみ」

 そう小さく口にしてから紗綾はそっと部屋を出た。