Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「こんなの、今日だけだもん!」

 善美はどこかでは脅えていたようにも思える。
 今まで耐えてきたものが恐ろしくなったのは、自分達が来たからなのかもしれないと紗綾は考える。
 現象を霊によるものだと断定できる者の存在、その攻撃を阻む者がそれを更に刺激したのかもしれない。

「善美ちゃん……」

 紗綾はどうしたらいいかわからなくなる。何もわからず、救いになれない自分は何をすれば良いのか。
 戸惑う内に圭斗は結論を出してしまった。

「わかった。じゃあ、俺はここで手を引く。せいぜい、祈ってろ」

 圭斗は立ち上がり、そのまま扉を開けて出て行こうとする。そんな彼を紗綾は呼び止めた。

「圭斗君!」

 くるりと振り返った圭斗は微笑んだように見えた。

「それじゃあ、ちゃんと寝て下さいね。紗綾先輩」
「圭斗君……」

 穏やかな声に揺らぐ心が続く言葉を紡がせなかった。

「おやすみなさい」
 呼びかけも虚しく扉は閉まり、また静寂が訪れた。