結局、そうこう話している内に彼女の方が先に眠ってしまった。紗綾の方が先に寝そうなどと言っていたのは誰だっただろうか。
 疲れていても紗綾は眠れなかった。
 思えば、いつもそうだ。いつだって誰かが先に眠って、自分が眠れなくなる。
 修学旅行の時などは、イビキの大合唱の中で眠れず、睡眠不足になるほどだった。
 不眠症というほどではないが、睡魔に嫌われているらしい。
 あるいは、それも貧乏くじ体質のせいなのかもしれないと思ってしまう。それも悪い癖だとはわかっているつもりだった。

 善美が寝て暫く、豆電球が照らす部屋の中で紗綾は考えた。

『これで終わりならいいんスけどね……』

 まだ終わっていないとでも言うかのような圭斗の言葉の意味を。
 なぜ、霊が引き寄せられてきたのか。
 自分の体質は霊を引き寄せるようなものではないはずだった。
 圭斗が大丈夫だと言ったのだから違うのだろう。今まで、そういったこともなかった。
 彼は力を隠し、本人の言葉を信じて推察するならば守られているはずだ。
 だとしたら、善美なのだろうか。