「黒羽も結構って言うか、かなり強引で過激なところあるけどさ、あれは明らかに暴力だって。霊の方が可愛そうだよ。いくら悪いことする霊だからってさ。霊は安らかに導いてあげるべきだよ。ここは日本なんだよ?」

 サイキックと一言で言い、同じ霊能者の枠内に収まっても十夜と嵐ではタイプが違い、リアムもまた違うようだった。

「まあ、御愁傷様ってことで」

 未だサイキックであることを隠す圭斗が他人事のように笑う。

「何かこっちに霊が引き寄せられていったと思って、慌てて帰ったら妙にすっきりしてるし、何なんだろうね」

 おそらく圭斗が眷属によって霊を退けてくれたのだろうが、そのことは嵐達には秘密である。
 隠すことに心は痛むが、目に見えていないことはなかったと同じことなのかもしれない。