「……女はどうしてそんなに話好きか理解に困る。どうせ、泊まりなのに」
「だって、紗綾って一人でさっさと寝ちゃいそうだし、あんたの話はもう十分!」
「俺がお喋りみたいに言うんじゃねぇよ。何も話してねぇだろ」
「あたしは女同士の話がしたいの! 空気読みなさいよ、バカ!」
「俺も空気読んでほしかったんだけど」
「あんたの事情なんか知らないわよ。ほら、紗綾、行こう?」

 鈴子がいるところに長居はしたくないとばかりに善美はぐいぐいと紗綾の腕を引いた。

「善美ちゃん、嬉しそうだねぇ」
「うん、紗綾ってちょっと変だし」
「そ、そうかな? そんなに変?」
「天然だし。ほら、早く!」

 そして、紗綾は流されるまま、善美の部屋へと連行されたのだった。