「ねぇ、紗綾。あたしの部屋で話そっか? お菓子、好き?」
「あ、うん」

 正直、助かったと紗綾は思っていた。
 善美もどうにも鈴子を苦手としているようであった。
 それが正常な反応だとも思うほどである。魔女を恐れない方がどうかしていると思ってしまうのだ。

「圭斗はおじいちゃんに話し相手になってもらえば?」
「普通、逆じゃね?」

 圭斗はあからさまに顔を顰めるが、善美の祖父は圭斗に煎餅を差し出す。

「食うか? 日本の煎餅は美味いぞ」

 善美の祖父はどうにも圭斗のことまでも外国人だと思っているらしかった。
 昼食の時も説明はしたのだが、『おじいちゃんは人の話を聞かないの』と善美が言っていた。

「これもお食べ。お茶もありますよ」

 続いて善美の祖母が水羊羹を差し出す。
 圭斗は渋々と言った様子で大人しく座り、受け取るが、まだ不満があるようだった。