「まあ、司馬の兄貴の方はこっちでお世話してるんだけどね」
「将仁とか言う刑事っスよね?」
「ああ、もう会った?」
「この前、先輩と帰った日に」

 将也と似てはいるが、くたびれた印象のある男だった。仕事で疲れているのだろうか。

「あの人、よく捜査中に変なもの視たって言って泣きついてくるから。要注意」

 司馬将仁が視える人だということは圭斗も知っている。助けを求めてくるということも紗綾から聞いている。
 刑事ともなれば人の生死や憎悪などの強い感情に触れることもあるだろう。

「しかも、彼女が女子高生でさ、二人して面倒なことに首突っ込もうとしちゃうから本当に要注意ね。仕事引き受ける時は賄賂貰わないと。その賄賂もすんなり受けとるとつけあがるし」

 それが教師の台詞だろうかと思うものの、この男には無意味だということはもうわかっていた。
 彼は普通の教師ではない。