「私は味方ですから。そこのところお忘れなく。いえ、紗綾の、紗綾だけの味方ですけどね! 紗綾、何かあったらすぐに呼んでよね、絶対に全速力で駆け付けるからね!」

 立ち上がり、威勢よく香澄は言った。まるで捨て台詞である。

「何かあった時にはサービスしてあげるよ」

 嵐はひらひらと手を振って香澄を見送る。
 何か、というのは聞くまでもないだろう。


 結局、何かの間違いだったと言われるわけでもなく、紗綾は正式に生贄になった。
 最初の頃こそ、十夜は自分の力に間違いがないことを証明しようとしていたが、すぐにそれも止めた。無駄だと気付いたのだ。
 歓迎会で魔女――毒島鈴子に散々罵倒されながら、彼女が後に認めた理由を説き明かそうとして、できなかった。
 だから、未だに誰もわかっていないのだ。オカ研にとっての最大の謎を解き明かす者はいない。