Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「いや、あのさ、それは黒羽、黒羽だって! 昨日言ったでしょ! いや、この際、八千草でもいい! あいつなら喜ぶから!」
「私は先生を殴りたい気分なんです」
「俺は可愛そうな先生なの! 俺も犠牲者なの! 生贄教師なの!」

 噂の中で、嵐は魔王に脅されていることになっていた。
 しかし、紗綾も香澄もそれは違うと感じていた。 人徳というものなのかもしれないが、女生徒達に囲まれ、同情されて喜んでいるようにも見えた。
 少なくともオカ研での彼は可愛そうなイケメン教師ではない。
 何か事情はありそうだが、少なくとも十夜より立場が下という様子ではなかった。

「ああなるの、わかってたんですよね? 昨日の見る限り先生は全然可哀想じゃありません!」

 香澄ははっきりきっぱり物を言う。
 同じことを思ったとしても紗綾は同じようには言えない。

「そうかもしれないね」
「大体、先生は先生らしくないんですよ。何で先生になったんですか? 霊感商法で儲けようと思わなかったんですか?」

 さすがに失礼ではないかと紗綾は思ってしまう。
 そもそも、それを判断するには随分と早い気もする。
 嵐も暗い表情で黙り込んでしまった。