Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

 扉の向こう、 何かが動いた。
 そう感じた瞬間、破裂音が響き、紗綾はびくりと身を縮める。
 同じように香澄も驚いたようだったが、それでもしっかりと手は握ってくれていた。

「ぱんぱっかぱーんっ! オカルト研究部へようこそ! 部長の八千草光(ひかる)でっす、よろしくぅ! 遠慮せずにヤッチーって呼んじゃってね! キラッ、なんちゃってーあははぁ」

 部室から飛び出してきたのは人間だった。男子生徒である。
 彼はクラッカーを片手に笑っていた。
 しかし、それは楽しい雰囲気を演出するものではなかった。むしろ、最悪だった。
 突然のことに驚いて何が起こったかわかっていなかったが、気付けば十夜がキラキラしたテープを浴びせられ、呆然と立っている。
 もしかしたら、一番驚いているのは彼なのかもしれなかった。
 しかし、笑えない。全くもって笑える状況ではない。

「うわっ、何この空気。もしかして、もしかしなくても、俺、滑った? 滅茶苦茶滑っちゃった? つるつるりーん?」

 光は気まずげな顔をしてクラッカーのテープを回収する。
 しかし、口調から緊張感は感じられなかった。そういう男なのだろう。
 滑ることに慣れているようですらある。