Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~

「でも、先輩はそのひどいところにいるんでしょ?」
「陰謀っていうか、策略っていうか、呪いっていうか、もしかしたら超常現象かも……」

 紗綾も決して好きで入ったわけではない。
 それに、去年はもっと理不尽な回避不可能な方法で生贄が確保されたのだ。

「へぇ、尚更面白そうじゃん」

 必死に恐ろしさを伝えようとしたものの、それが逆に彼の興味を引き付けてしまったらしい。

「魔王と策士がいるの。本当に一度行ったら戻れないんだよ?」

 全校生徒どころか教師までも恐れる二人が揃っているのだから、当然入部後の退部も受け付けられない。
 一度入ったら最後、三年間の隷属が約束されている。
 その上、厄介なものがバックについている。

「いいよ、先輩と一緒なら本望。地獄に堕ちたっていいんスよ?」

 その笑みは美しかった。誘惑的な笑みに紗綾は背筋が冷たくなるのを感じる。
 ここにも悪魔がいる。そう直感したのだ。
 もしかしたら、捕まってしまったのは彼の方ではなく、自分の方なのかもしれないと。