闇が支配する空。

そこに、陽が昇ることは永遠にない。



――そう、すべてが闇。




「オネエチャン!また来てくれたの!?」



頭にフードを被った布きれの裾をぐいっと引っ張られた。



「! ピクス!もう体は大丈夫なの?」


自分の腰よりも下いる、小さな体。


頭には猫のような耳が2つ。

黄色い髪に、下の方で一まとめにくくられているおさげ。

ついでに言えば、お尻にはキツネのようなふわふわのしっぽがついている。



「体?…ああ!俺たち魔族は怪我の治りも早いから、こないだの戦争の時の怪我なんかへっちゃらさ!」


ヘヘン!すごいだろ!と、ピクスは自慢げに私に言った。



(魔族…。私とは違う…。)



「……そっか。なら良かったわ。」



内心、複雑な思いで話を聞きながら、私は魔族の子どもピクスの、柔らかな黄色い頭を撫でた。