「でもさ…」
笑みはそのまま、亮は落ち着いた物腰のまま口を開いた。
「恋羽ちゃんは“見てない”よね。海翔のこと」
「………」
「ちょっと!そんなに睨まないでって。違う?」
酷く楽しそうにそう俺に訪ねる亮は、本当に性格が歪んでる。
「…あぁ。その通りだな。あいつは俺どころか誰も視界に入れてない」
本当に誰も。会話はするのに、目の前で呼吸をするのに、あいつの瞳には誰1人として映らない。
いつもどこか遠くを見据えいて。またそれが、絵画のように絵になる。
皮肉だが褒め言葉だが知らないが、“天使”そのものだ。
人の姿に羽を生やして俺たちの前から消えようとしてるようにしか見えない。
だから焦ってる。恋羽を助けることを。
助けを求め、叫んだ恋羽だが
“何か”を失うことを恐れてる。

