フワッ…
風でなびいた茶色の柔らかそうな髪の毛。
筋の通った鼻。
キメ細やかな肌。
かっこいいなぁ…
「蓮…スキ……」
小さな声で言葉にする。
聞こえていたらどうしようかなぁ…
なんて…ね。
「…蓮……今までごめんね…」
「…ん……」
蓮が寝返りをうつ。
「あ…ずさ…」
え…?
今聞こえた声。
それは私じゃない。
他のだれかを呼ぶ声
「蓮…」
ここにいちゃいけない気がして私はチョコレートを蓮の横へおいて教室に戻った。
あずさって…誰なの?
蓮。
やっぱり好きな人いるの?
付き合っているの?
人は数年たてば変わってしまうものなの?
今年のバレンタインは…
私にとって不安のバレンタインでした。
教室は甘いチョコレートの匂いがたちこめていたけど。
わたしにとってそれは苦いチョコレートの匂いでした…。